サインの磁気カードと暗証番号のICカードは何が違う?


クレジットカードを利用した時に求められるサイン。
無意識に自分のフルネームを書いている人が多いと思います。
東京オリンピックへの期待が高まるのと同じ頃から「IC化」という言葉を聞く機会が増え、クレジットカード利用時にサインではなく暗証番号の入力を求められるように変化してきたことに気づいていますか?
クレジットカードを利用する側は、「サインをせずに暗唱番号の入力になった」くらいしか変わらないかもしれませんが、実はクレジットカード業界は東京オリンピック開催予定であった2020年に向けて大きく変化していたのです。
今回は、クレジットカードのセキュリティに大きく関係するクレジットカードのサインやIC化について詳しく解説します。

Contents
不正利用の増加とクレジットカードのIC化
クレジットカードの不正利用というとニュースで見聞きするだけで、自分の身に降りかかることではないと思っていませんか?
自分はもちろん身近に被害に遭った人がいなければそう思ってしまうのも仕方ないことかもしれません。
しかし、近年クレジットカードの不正利用件数は増加傾向にありその発生件数は数年で3倍以上になっているのです。
クレジットカードの不正利用というと偽造カードを思い浮かべる人が多いと思いますが、昨今の不正利用は偽造カードを大きく超えて「番号盗用」が圧倒的に多くなっています。
不正利用方法 | 被害額 | 構成比 |
---|---|---|
番号盗用 | 187.6億円 | 79.7% |
偽造カード | 16億円 | 6.8% |
その他 | 31.8億円 | 13.5% |
※日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の発生状況」より
上記を見るだけでも番号盗用が大半を占めていることがわかりますね。
偽造カードは盗み出した情報を元に偽クレジットカードを作る必要がありましたが、番号盗用はクレジットカードの重要情報を盗み、ネット上で利用するため時間も手間もかからなくなってします。
これも世の中のデジタル化による弊害と言えるでしょう。
不正利用対策に有効なクレジットカードのIC化
クレジットカードが不正利用される主な原因はクレジットカード番号が盗まれることです。
これは昔からの手口である偽造カードでも、現在主流の番号盗用でも同じこと。
ならば番号を盗まれないようにすることが最大の防御策となりますよね。
しかし、不正利用をする側も年々巧妙な手口を用いるようになっているため番号盗用を防ぐことは非常に難しいのです。
そこで登場するのがクレジットカードのIC化です。
クレジットカードの番号を盗まれたくない根本の理由は「不正利用されてしまうから」ですよね。
であれば、クレジットカードの番号を盗まれても不正利用されないようにすれば安全ということになります。
IC化されたクレジットカードは万が一クレジットカード番号が悪い人の手に渡っても、不正利用(決済)できないように守ってくれる存在なのです。
ICカードの詳細は後に改めて解説しますが、ICカードはスキミングや偽造が磁気カードの比較にならないくらい難しくなっていますし、クレジットカードそのもののセキュリティ機能も各段に高くなっています。
改正割賦販売法の施行で進むクレジットカードのIC化
先に解説した通り、クレジットカードの不正利用に対してICカードは大きな防御壁となります。
日本は2002年、世界の中でも先駆けてクレジットカードのIC化に着手しました。
しかし、皆さんの手元のクレジットカードがICカードに変わったのは極々最近のことでしょう。
クレジットカードIC化の歴史は思っているよりも前から世界各国で進められてきました。
特に欧州は90年代にフランスでデビットカードの不正利用が多発したことを機に精力的にクレジットカードのIC化を進め、単一ユーロ決済圏内諸国では2008年にIC化が完了。
その後、オセアニアやアメリカもIC化を完了させたことで、クレジットカードの不正利用は激減しました。
しかし、それはクレジットカードのIC化が完了した地域でのこと。
不正利用被害は、単純にセキュリティ対策が脆弱な地域へ移行していっただけなのです。

流れに遅れていた日本ですが、2018年に「改正割賦販売法」が施行されたことで一気に流れが変わりました。
「改正割賦販売法」ではクレジットカード関連事業者に対してセキュリティ対策の大幅な強化が義務付けられ、その中の1つに「クレジットカード加盟店は2020年3月までに決済端末をIC化させること」が含まれていたのです。
「2020年3月まで」という期限は、やはり東京オリンピックを見据えてのことでしょう。
この改正割賦販売法の施行により日本もやっとクレジットカードのIC化が完了となりました。
クレジットカードの新規発行や更新ではICカードが発行され、そのタイミングが間に合わない人は有効期限内でも新しくICチップが搭載されたクレジットカードが送られてきたと思います。
このIC化完了によりクレジットカードの不正利用の激減に期待できるでしょう。
クレジットカードの種類
クレジットカードのIC化について解説してきましたが少々基本に返り、クレジットカードの種類について解説していきましょう。
クレジットカードには大きく分けて2種類、更に細かく分けると3種類のカードがあります。
※ICチップ搭載前のセゾンカードインターナショナル。現在はIC化され、券面にICチップが搭載されています。
昭和の時代から使われてきたクレジットカードで、不正利用されやすいタイプ。
券面にICチップが搭載されておらず、クレジットカード裏面上部に黒い磁気テープがあるのが特徴ですが中にはデザイン面を考慮し磁気テープが見えないように加工されているものもあります。
接触型ICカード
現在手元にあるクレジットカードはすべてこの「非接触型ICカード」のはずです。
券面に金色の小さなICチップが搭載されているのが特徴で、磁気カードと比較して高いセキュリティ効果が期待できます。
尚、現在は磁気テープも搭載しているため、厳密にはICにも対応している磁気カードということになります。
非接触型ICカード
身近なものでは交通系ICカードがわかりやすいでしょう。
カードを端末に差し込んだり、スキャンしたりする必要がなく、専用端末にかざすことで決済ができるカードです。
尚、クレジットカードでもVISAや楽天カードなどでタッチ決済が可能になった非接触型ICカードが発行されています。
実際に利用する側としては大きな違いはありませんが、クレジットカードの種類によってセキュリティには大きな違いがあるのです。
ここからは更に各クレジットカードの詳細を解説していきましょう。
磁気カードとは
磁気カードは、クレジットカード上部に磁気ストライプテープが貼りつけられた昔からあるタイプのクレジットカードです。
磁気ストライプの中に符号化(エンコード)した情報を記憶し、磁気カードリーダーでスキャンすることでデータを読み取り、決済ができます。
中にはデザイン性を重視して磁気ストライプが見えないように加工されているクレジットカードもありますが、ICカード以外のクレジットカードはすべて磁気ストライプが搭載されています。
磁気カードは作成コストが非常に安いため、クレジットカード以外にも銀行のキャッシュカードやホテルのカードキー、プラスチック製の会員カードなど幅広く活用されているので見たことがある人も多いでしょう。
磁気カードとICカードの価格まではわかりませんが、概ね磁気カードはICカードの半額以下で作ることができるようです。
但し、コストが安い反面、記憶できるデータ量は少なく、セキュリティ面でもICカードの足元にも及ばないという残念な面もあります。
記憶できる情報量が少なくデータ形式が単純なため、スキマーと呼ばれるクレジットカード情報を読み取る装置を使って1秒程度で全ての情報を盗めてしまい、不正利用に繋がるのです。
ICカードとは
冒頭からICカード、IC化などの単語をポンポン出していますが、そもそも「IC」って何?という人も多いでしょう。
ICとは「Integrated Circuit」の略で小さな板に多くの情報を組み込んだ集積回路のことを言います。
スマートホンに入っているSIMカードにゴールドに黒い線が入った部分を見たことがありませんか?
SIMカードのゴールド部分がまさにICチップです。
IC化されているクレジットカードの券面にも金色のICチップが埋め込まれています。
ICチップは今までの磁気テープと比較して構造が複雑かつ、記憶できる情報量が非常に多いのが特徴です。
また、ICチップは盗用されてもさほど問題ない情報とは別の領域に秘匿情報を保管できるため、クレジットカードの不正利用に必要なデータが盗まれにくく、セキュリティに優れています。

これもICチップが記憶できる情報量が多いからできることです。
私たちユーザーにとっては良いことばかりが目立つICカードですが、磁気カードと比較するとコストが高く、カード作成にも時間を要するというデメリットがあります。
そのためクレジットカード会社では、プリペイドタイプのクレジットカードにはICチップを搭載していません。
磁気カードとICカードのメリット・デメリット
磁気カードとICカードにはそれぞれにメリット・デメリットがあります。
国内で発行されるクレジットカードは基本的にすべてICカードに変わっていますが、先にお伝えしている通り磁気ストライプも併用搭載されています。
決済端末がIC化されていない店舗や何らかの事情でICチップが読み取れない場合に有効ですが、磁気カードのメリット・デメリットも併せ持っているということでもあるのです。
磁気カード、ICカードそれぞれのメリット・デメリットを知っていれば、より安全にクレジットカードを活用できます。
磁気カードのメリット・デメリット
■作成コストが安く、短時間で作成できる
短時間でクレジットカードが作成できるため、即日発行に対応しやすくなります。
クレディセゾンではクレジットカードを即日発行する場合、ICチップ機能のないカードが発行される旨告知していますが、現在即日発行に対応しているクレジットカードのほとんどは磁気カードが発行されます。
■磁気不良を起こしやすい
クレジットカードとスマートホンやPC、車の電子キーなどの磁力を発生させる物に近づけることで、磁気ストライプが磁気不良を起こす可能性があります。
また、お財布の中でクレジットカード同士を同じポケット内に重ねて収納した場合も磁気不良を起こす可能性があります。
磁気不良を起こした場合、自力で改善させることは不可能なためクレジットカードの再発行が必要になります。
再発行費用が発生する可能性や発行までの期間クレジットカードが利用できないことを考えると、なるべく磁気不良を起こさないように注意した方が良いですね。
■経年劣化により摩耗や損傷をする
長い間同じ磁気カードを頻繁に利用すると磁気ストライプが摩耗してしまい、磁気が読み取れなくなる可能性があります。
また、磁気ストライプは熱にも弱いため、猛暑日の車内にクレジットカードを長時間置いておくと熱による摩耗を起こし使えなくなったり、ズボンのポケットに入れたまま座ってしまい物理的に破損することもあります。
■スキミング被害に遭いやすい
先に解説した通り、磁気ストライプに記憶されている情報量が少なく、セキュリティも弱いため、、スキミング被害に遭う可能性があります。
スキミングはスキマーという読み取り装置を利用し、簡単に短時間で行われるため、危険は日常的にクレジットカードを利用する環境にたくさん潜んでいます。
例えばATMのクレジットカード挿入口にスキマーが設置されている場合、ユーザーがクレジットカードを差し込んだだけで、決済に必要な重要情報が盗まれてしまうのです。
ICカードのメリット・デメリット
■高度な性能でセキュリティ制が高い
ICカード最大のメリットはやはりセキュリティ制の高さです。
ICカードは磁気カードと比較して情報の格納方法が高度で、盗まれても影響のない情報とは別の場所に秘匿情報が格納されているため、クレジットカード情報を盗まれる可能性が非常に低くなります。
また、ICカードが記憶できる情報量が非常に多いため、スキミングをしようとしてもすべての情報を抜き取るためにかかる時間が長くなり、結果的に簡単にスキミングができないようになっています。
■認証構造が高度で不正利用されにくい
セキュリティ制の高さに関連しますが、ICカードは認証構造が極めて高度に作られているため万が一クレジットカード情報を盗まれたとしても決済に利用できる可能性が低くなります。
ICカードを利用した場合、そのクレジットカードが変造物でないか認証機能が作動し、万が一データ変造が検出された場合はその時点で決済取引が中止されるようになっているのです。
更に、クレジットカード会社に認証のため利用データが送られる際のデータも暗号化されており、この複雑な仕組みを突破して不正利用が成立することは非常に難しく、ほぼ不可能と考えられています。
■暗証番号で不正利用を防ぐ
ICカードは決済時に4桁の暗証番号を入力しなければなりません。
万が一、クレジットカード情報が盗まれた場合でも本人しか知り得ない4桁の暗証番号が決済に必要なため、不正利用ができにくくなっています。
磁気ストライプではサインを真似ることで決済が実行されてしまうことが多かったですが、ICカードではそのような不正利用も防ぐことができるのです。
■ICチップが使えなくても磁気ストライプが利用できる
後述しますが、ICチップは非常に丈夫に作られているため簡単に不良を起こすことはありません。
とはいえ、ICチップが使えなくなる可能性はゼロではありません。
また、海外などまだIC化が進んでいない地域へ行った際はICチップを利用した決済ができません。
しかし、現在のICカードには磁気ストライプも併用されているため、ICチップが使えない場合は磁気ストライプで決済することができるので、決済端末を選ばず利用ができます。
■発行コストが高く、発行に時間もかかる
磁気ストライプのクレジットカードと比較すると発行コストは倍以上となり、発行する時間も長くなります。
コストはユーザーにとって大きな障害にはなりませんが、発行時間が長くなるのは即日発行を希望する人にとってデメリットと成り得るでしょう。
現時点で即日ICカードが発行されるクレジットカード会社は「エポスカード」のみとなりますが、他のクレジットカード会社では、即日発行後にICカードに変更することが可能です。
■暗証番号の漏洩はユーザー責任になる
ICカードの決済に必要な4桁の暗証番号を他人が利用して不正利用した場合、暗証番号の管理ができていなかったという理由からカード名義本人の責任となる可能性があります。
カード名義人の責任になるということは、不正利用被害に対する補償を受けられないということになるため、不正利用された多額の負債を本人が返済することになってしまうのです。
暗証番号は家族であっても自分以外の人に知られないよう注意しましょう。
■ICチップ不良で決済できなくなる
ICカードはクレジットカード券面にあるICチップに読み取り機が接触することで情報を読み取り、暗証番号を入力することで決済が完了します。
既に何度か店頭で利用したことがあるクレジットカードのICチップを見るとチップ表面に黒っぽい線が付いているのがわかると思います。
その線がクレジットカード読み取り機に挿入した際、ICチップに接触した機器の痕跡です。
しかし、ICチップがサビたり、汚れていたりすると情報を読み取ることができずに決済不能となってしまいます。
と言っても、ICチップ表面には水分や塩分でも変質しない金の特徴を生かし、金メッキ加工がされているため、なかなか錆びることはありません。
また、金メッキは汚れにも強いため万が一汚れた場合も柔らかい布で拭きとるだけでほぼ落とすことができるでしょう。
もしも簡単に拭いても落ちない汚れが付いた場合は、アルコールなどを含ませた布で軽く拭きとれば落とすことができます。
但し、物理的に強い圧力をかけてしまったり、高温の環境に長時間置いていた場合には、変形や変質をする可能性がありますので、注意しましょう。
昨今、スマホを中心に非常に多くのアプリがありますよね。
アプリの中には各キャリアが承認していない個人が作ったものもあり、その中には極少数ですがクレジットカード番号を盗みだそうとする悪いアプリも存在します。
家計簿アプリなどクレジットカード情報を自動連係してくれるサービスがある場合、クレジットカード番号はもちろんカード情報を収集するのに必要なID・パスワードなどを求めてくることもあります。
暗証番号を求めるものまであるかわかりませんが、アプリをインストールする場合にはそのセキュリティ制も確認するように注意しましょう。
自分でアプリに提供してしまった情報が原因で不正利用された場合は、もちろんクレジットカード会社の補償外になる可能性があります。
クレジットカードの使い方
さて、ここで改めて各クレジットカードの使い方について解説しましょう。
クレジットカードを利用する場合、その環境により少々使い方に違いがあります。
店頭で磁気カードとして利用する場合
①クレジットカードを店員に渡す
②店員がレジ及び、クレジットカード用端末でクレジットカードをスキャン
③レシートや伝票、タブレット端末など指定の場所にサインをする
④決済完了
磁気カード決済に対応している方法で、クレジットカードのIC化が進むまでは、すべての店舗でこの方法が用いられていました。
この方法では店員から出された伝票にクレジットカード裏面記載のサイン(署名)と同じサイン(署名)をする必要があります。
最近では伝票へのサインではなく、店頭にある電子端末にサインをする方法も増えています。
店頭でICカードとして利用する場合
①クレジットカードを読み取り機に挿入する
②テンキーに暗証番号を入力する
③決済完了
クレジットカードのIC化が完了した今、主流となっているのが読み取り機を利用した方法です。
店舗により自分で読み取り機にクレジットカードを差し込む場合もあれば、クレジットカードを受け取った店員が差し込む場合もありますが、昨今では感染症などの影響もありユーザー自らが読み取り端末にクレジットカードを差し込む方法がほとんどになりました。
暗証番号の管理に注意
先に解説した通り、暗証番号の漏洩はクレジットカード名義人の責任となる可能性がある非常に重要な情報です。
そのため、暗証番号を設定する時には誕生日や住所、電話番号など他人に推測されやすい番号は避けて設定するようにしましょう。
その他、0000や1234などの同じ数字並びや連番も簡単に推測できるため、避けるべきです。
クレジットカード会社の中には漏洩リスクが高いと考えられる暗証番号は設定できないように管理されている場合もありますが、まずは自らが注意して設定をするべきです。

お財布を落とすなどクレジットカードと暗証番号が一緒に他人の手に渡れば用意に不正利用ができていますので注意しましょう。
ネットショッピングの場合
①決済画面で支払方法にクレジットカードを選択
②クレジットカード情報を入力
③決済完了
クレジットカード情報では、カード番号や名義人名、有効期限と同時にセキュリティコードというクレジットカード裏面に記載されている3桁の番号も入力が必要です。
ネットショッピングで注意すべきこと
ネットショッピングが当たり前となっている昨今、クレジットカード決済は非常に便利な決済手段です。
代引きでは別途手数料がかかってしまうし、銀行振込は商品の到着が遅れてしまいます。
しかし、ネットでの利用はきちんとした知識がないと不正利用被害に繋がるリスクがあるのです。
ネット上でクレジットカード決済をする場合には、下記のような事に注意して利用しましょう。
【ショッピングサイトがSSL化されているか確認】
ショッピングサイトのURLの最初が「https://~」で始まっているサイトはSSL化されている安全なサイトと考えられます。
SSL化をしているサイトでは通信情報を暗号化しているため、クレジットカード情報などを入力しても不正利用に繋がりにくくなっているのです。
反対にURLの最初に「s」が付いておらず「http://~」で始まるサイトの場合はSSL化されていないサイトとなりますので、注意が必要です。
【3Dセキュア(本人認証サービス)を利用する】
3Dセキュア(本人認証サービス)は、ネットショッピングをする時にクレジットカード情報の他に会員自身が設定した本人認証パスワードの入力が必要になるため、不正利用を防ぐ効果があります。
3Dセキュア(本人認証サービス)は、国際ブランドごとに様々な名称で提供されていますので、自分が保有するクレジットカードの国際ブランドで登録しましょう。
American Express 「American Express SafeKey」
Mastercard「Mastercard SecureCode」
Visa「Visa Secure」
JCB「J/Secure」
【ブラウザやウイルス対策ソフトを最新に】
「ブラウザ」とは、ネット上のウェブページを見るためのソフトです。
【代表的なブラウザ】
Google Chrome/Microsoft Edge/Safari/Firefox
各ブラウザやウイルス対策ソフトは、常にネット上の環境に合わせたアップデートを実施しており、最新のバージョンはその時点で十分なセキュリティを保持していると考えられます。
例えば新しいウイルスが発生した場合、各社はそのウイルス感染しないようにセキュリティを高め、新しいバージョンとして公開します。
ブラウザやウイルス対策ソフトを常に最新のものに保つことで、クレジットカードの不正利用を防ぐことができる可能性があるのです。
ウイルス対策ソフトを入れていない人は、この機会に導入を考えてはいかがでしょうか。
サインの意味と署名欄の書き方
さて、ICカードや磁気カードの詳細がわかったところで、改めてセキュリティに関係するクレジットカードのサインや暗唱番号について解説しましょう。
ICカードの場合は基本的に暗証番号を入力することで決済が完了しますが、磁気カードやICカードでも磁気ストライプを使った決済の場合はサイン(署名)が必要になります。
このサインや暗唱番号、簡単に考えていると不正利用被害に遭う原因になってしまいますので、ここでしっかりと確認しておくと良いでしょう。
サイン(署名)をする意味
店頭でクレジットカード決済をする際、求められるから何となくサイン(署名)をしているという人も多いと思います。
しかし、このサイン(署名)は、非常に重要な意味を持っているのです。
サイン(署名)をする主な理由・意味は下記の通りです。
■クレジットカード名義人本人であることを明確にする本人確認の意味
■支払い内容及び、金額に同意したという意味
■不正利用の防止策
要は「クレジットカードの持ち主本人が、この内容と金額の支払いに同意しました。」という証拠となるということです。
クレジットカードは、クレジットカード会社の審査を受け、一定以上の信頼があると認められた人に発行されているものです。
それを他人が利用するということは、それが例え家族であっても不正な利用に値します。
そのような不正利用に繋がらないようにクレジットカードを利用した際には、契約者本人であることを証明するサイン(署名)をするのです。
サインを受け取った加盟店はそのサインとクレジットカード裏面にあるサインを照らし合わせて、クレジットカードを利用した人が契約者本人であるかを確認します。
今までに利用した中で、クレジットカードで決済をしたけどサインを求められなかった経験を持つ方もいると思います。
コンビニやスーパーなど一部のお店では、クレジットカード会社とお店で一定金額まではサインを省略しても良いという契約を結んでいます。
その契約を結んだ店舗で決められた金額内であれば、クレジットカードで決済をしてもサインをする必要がないのです。
このサインレス決済を導入することで、クレジットカード決済にかかる時間を短縮し、スーパーなどの混雑緩和に役立っています。
クレジットカード裏面に署名がない場合
クレジットカードを保有している人で、クレジットカードの裏面にある署名欄を知らない人はいないでしょう。
この欄にサイン(署名)がないと不正利用被害に遭う大きな原因となります。
例えばサインのないクレジットカードを紛失してしまった場合、拾った人がサインを書いて使うことができてしまいます。
店頭で利用し、店員がサインの照らし合わせを実施してもクレジットカードの署名欄に書かれているサインは、拾った人が書いたサインなのでもちろん矛盾はありません。
本来、クレジットカードが盗難に遭うなどして不正利用をされた場合は、クレジットカード会社の盗難補償が適用されますが、このようにクレジットカードの裏面にサインがなかった場合は補償対象外となる可能性が出てきます。
限度額いっぱいまで不正利用されてしまい、補償も受けられない場合、全額自分が返済しなければならず非常に危険なのです。
そのため、日本クレジット協会では「署名のないクレジットカードは利用できない」という基本姿勢を示し、各加盟店にも通達しています。
サイン(署名)のないクレジットカードは店舗が拒否できる
裏面に署名のないクレジットカードを店舗で利用しようとした場合、店舗側は決済を拒否することができます。
クレジットカードを提示した際に裏面にサインがないことが確認された場合、多くの店舗ではその場で署名欄にサインを書くように案内します。
その場で裏面の署名欄にサインを書けばそのまま決済ができますが、サインを書くことを拒否した場合、店舗では「このクレジットカードは使えません」と断ることができるのです。
クレジットカードの裏面署名欄にサインをしていないことは、不正利用のリスクが高くなるだけでなく、スムーズな決済ができなくなる可能性もあります。
新規発行でも、有効期限切れによる更新でも、新しいクレジットカードを受け取ったらすぐに裏面の署名欄にサインを書くようにしましょう。
サインの書き方
ネット上を見回すと意外とクレジットカードのサインの書き方に悩んでいる方が多いことに気づきました。
日本人の多くは、漢字フルネームで書くかクレジットカードの刻印と同じローマ字で書いているようです。
クレジットカードの裏面にある署名欄に書くサインについて細かく解説しますので、参考にしてくださいね。
サインは油性ペンを利用しよう
クレジットカード裏面の署名欄にサインする場合は、油性ペンを利用しましょう。
署名欄は、他の部分とは違う素材になっておりボールペンやシャープペンシルなどでも書くことができるようになっています。
しかし、それらの筆記用具でサインをした場合、長年の使用で見えにくくなったり、酷いと消えてしまったりします。
また、クレジットカードを紛失した際に簡単に消したり、上書きしたりとサインを書き替えることも出来てしまうため、セキュリティ面でも不安があります。
その点、油性ペンは簡単に消えることはありませんし、もちろん消すことも、上書きすることも難しいのでおすすめです。
油性ペンにもいろいろな太さがありますが、文字が潰れず筆跡が明確にわかる程度の太さが良いでしょう。
あまり太すぎると文字が潰れてしまいますし、筆跡がわかりませんよね。
逆に細すぎるとかすれたり、見にくくなったりしてしまいます。
太さに悩んだら、クレジットカードにサインをする前に他の紙などに試し書きしてちょうど良い太さを選びましょう。
また、油性ペンでサインを書いた後は確実に乾かしてからお財布やカードケースに収納するようにしてください。
乾かない状態で収納しようとするとせっかく書いたサインが伸びて読めなくなってしまうだけでなく、お財布などが汚れる原因にもなりますので、注意してくださいね。
書いたサインが読めなくなったら?
クレジットカードの裏面署名欄にせっかく書いたサインが読めなくなってしまうことは多々あります。
上記の油性ペンが乾く前に触れてしまった等の他、サインの上に汚れが付いてしまったり、長期利用によりサインがかすれてしまったりするなど原因は様々です。
書類であれば、二重線を書いて訂正印を押すことで訂正することができますが、クレジットカードで訂正を認めてしまうと不正利用の誘発に繋がりますので、出来ません。
署名欄の書き直しや上書きは絶対にしてはいけない行為なのです。
では、サインを間違えて書いてしまったり、読めなくなってしまったりした場合は、どうすれば良いのか?
残念ですが、クレジットカードを再発行するしかないのです。
クレジットカード会社によっては再発行に費用がかかりますし、再発行には2週間程度の期間も必要になるため、できることなら避けたいですよね。
そのためにもクレジットカード裏面署名欄にサインをする時には万全の注意を払うようにしましょう。
サインに決まりはない
さて、最初に日本人のサインは漢字フルネームやローマ字表記が多いと書きましたね。
人は多くの人が行っている行動を同じにすることに安心をするせいか、多くの人が疑問にも思わず漢字やローマ字でサインをしているように感じます。
しかし、クレジットカードのサインに決まりは1つもないのです。
もちろん漢字でも、ローマ字でも良いですが、ひらがな、カタカナ、英字、イニシャルなど本当に何でもOK!
極端に言えば記号でも良いのです。
漢字:山田 花子(「山田」や「花子」でもOK)
ひらがな:やまだ はなこ(「やまだ」や「はなこ」でもOK)
カタカナ:ヤマダ ハナコ(「ヤマダ」や「ハナコ」でもOK)
ローマ字:Hanako Yamada(「Yamada」や「Hanako」、大文字小文字も自由)
イニシャル:HYやYHなど
その他、英語の筆記体や人から読めないような表記でもOK!
一番大切なのは、自分がクレジットカードを利用する時に同じサインを書くことができるかどうかです。
凝ったサインを書いたばかりにクレジットカードを利用する際に同じサインを掛けなかったり、裏面のサイン欄を見ながらしか掛けなかったりすると不正利用を疑われる原因になってしまいます。

確かに外国人が不正利用をしようとした場合、漢字のサインは難しいかもしれませんが、それは世界に目を向けた場合のみです。
悪いことをする人は日本にもたくさんいますし、もちろん日本人であれば簡単に漢字のサインを真似することができます。
そのため、特に海外利用の機会が少ない人はあまりこだわる必要がないと考えています。
ちなみに私のクレジットカードのサインは誰も読めないような英字を崩したサインを利用しています。
自分では書きなれたサインなので間違えることはありませんが、他人が真似するには少々難しいためちょうど良いと自己満足しています。
クレジットカードが新しくなった際には、自分のサインを考え直すのも良いかもしれませんね。
クレジットカードサインの注意点
クレジットカードのサインで注意してほしい点がいくつかありますので、ご紹介しておきましょう。
【家族カードのサインは利用者が書く】
本人名義のクレジットカードに付帯した家族カードを発行した場合、家族カード裏面のサインを誰がすべきか?という質問を受けることがあります。
家族カードのサインは、その家族カードを利用する人が書かなければいけません。
家族カード券面に刻印されている利用する家族本人がサインを書きましょう。
間違えても本カード会員がサインをしないようにしてくださいね。
【サインが署名欄からはみ出しても良いの?】
署名欄からサインがはみ出してもクレジットカードは普通に利用できるので問題ありませんが、わざとはみ出して書くことはおすすめしません。
特に署名欄の上にはネットショッピングなどで必要になるセキュリティコードが記載されていますので、セキュリティコードが隠れないように注意しましょう。
【適当に簡単なサインを書いても良いの?】
先にサインはどんなものでもOKと解説していますので、良いか悪いかで言えばよいのでしょうが、おすすめはできません。
簡単なサインや適当なサインは不正利用被害に遭う可能性を高めてしまいます。
中にはレ点をサインとしたり、〇や×など簡単な記号をサインにしたりしている人もいるようですが、誰にでも真似できるサインは危険なのでもう少し複雑な方が良いでしょう。
また、自分がショッピングをした時に適当なサインを書き、クレジットカード裏面のサインと異なると判断されてしまう原因にもなりますので、注意しましょう。
【サインをする時は金額や内容をしっかり確認】
店頭でレシートやタブレット端末に「サインを求められたからなんとなく書いている」という人もいると思いますが、それはとても危険な行為です。
先にお伝えしている通り、サインにはクレジットカード名義人本人という証明の他、購入内容や金額に相違がないことを確認したという同意の意味も持っています。
内容や金額を確認せずにサインをしてしまいクレジットカードの請求が届いてから金額が異なることに気づいた!となるとその後の確認が非常に難しくなります。
しっかりと内容を確認し、この支払いは間違いないという意思を持ってサインをしましょう。
まとめ
今回は、クレジットカードの種類にまつわるセキュリティについて解説しました。
クレジットカード会社や加盟店は常に不正利用を出さないように対策をしていますが、「不正利用はされる前に自らが対策する」ことが大切です。
また、クレジットカードによっては独自のセキュリティ対策をしている場合もあります。
この機会に自分のクレジットカードがどのような状況なのか、どうすれば不正利用被害に遭わずに済むかを考えてみると良いでしょう。
このような世界の動きがある中、我が国日本はどうしていたのか?
先にお伝えした通り日本は2002年から国際ブランドが中心となり、クレジットカードのIC化に着手していました。
新規発行のクレジットカードの多くにICチップが搭載され、徐々に更新カードにもICチップの搭載がなされたためクレジットカードのIC化はそれなりに進んでいたのです。
しかし、加盟店が利用する決済端末のIC化はそう簡単に進むものではありませんでした。
日本の決済端末の交換コストは諸外国と比較すると3倍以上とも言われ、そのコストの負担問題が発生してしまったのです。
クレジットカード会社、加盟店、端末関係企業らそのすべてが利益追求団体のためコスト問題が残ったままIC化が進まないことは十分に予測できました。
IC化が完了した多くの国では公的な後押しがあったことで迅速にIC化が完了したのです。